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日弁連『海外贈賄防止ガイダンス(手引)』

海外贈賄問題が日本企業にとって企業価値の毀損に直結する重大なリスクとなっていることを背景に、2016年7月、日本弁護士連合会より「海外贈賄防止ガイダンス(手引)」(以下、ガイダンス)が発行されました。これは、日本企業及び日本企業に助言を行う弁護士を対象に、海外贈賄防止を推進する上での実務指針に関する現時点でのベスト・プラクティスを取りまとめたものです。ABCJのメンバーは、ガイダンス作成過程において、中心的な役割を果たしてきました。また、ガイダンスの普及は、ABCJの主たる目的の一つとしても掲げられています。

海外贈賄防止アセスメントツール

現在、海外贈賄に関するリスクが、企業の資本コスト・企業価値に与える影響、ESG(環境・社会・ガバナンス)に与える影響の双方の観点から、重要性(マテリアリティ)を増しています。また、贈賄への関与はその発覚を免れるために不適切な会計処理を助長し、企業の財務情報の信頼性に疑義を生じさせる危険性もあります。このような状況をふまえ、ABCJはグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)と協働し『贈賄防止アセスメントツール』(以下、アセスメントツール)を策定・公表しました。アセスメントツールは、機関投資家及び投資先企業双方がこれを活用することにより、機関投資家と投資先企業との間の贈賄防止強化に向けたエンゲージメント・対話を促進し、かつ企業の透明性と持続可能性を高めることを期待されています。

腐敗防止強化のための東京原則

ABCJは、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が『腐敗防止強化のための東京原則』(以下、東京原則)を策定・普及することをサポートしてきました。東京原則は、国連グローバルコンパクト第10原則(透明性と腐敗防止)に基づく企業の取組みを前進させ、社会・企業双方の持続可能性及び透明性を向上させることを目的としています。東京原則に賛同する企業には、腐敗防止に向けた取組状況について『贈賄防止アセスメントツール』などを活用しながら可能な範囲で積極的に開示し、投資家をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話に努めることが期待されています。

​出版物

『NBL』連載「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説」

■高橋大祐「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第1回)序論 ガイダンスの意義と活用方法」

『NBL』2016年、1081号、13〜21頁。

■西垣建剛・立石竜資「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第2回)海外贈賄防止体制の整備(1)」『NBL』2016年、1083号、63〜69頁。

■西垣建剛・立石竜資「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第3回)海外贈賄防止体制の整備(2)」『NBL』2016年、1085号、56〜62頁。

■西垣建剛・立石竜資「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第4回)海外贈賄防止体制の整備(3)」『NBL』2016年、1087号、71〜75頁。

■竹内朗「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第5回)有事の対応(危機管理)(1)」

『NBL』2017年、1089号、80〜85頁。

■竹内朗「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第6回)有事の対応(危機管理)(2)」

『NBL』2017年、1091号、72〜75頁。

■西垣建剛・立石竜資「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第7回)子会社管理・企業買収」『NBL』2017年、1095号、55〜60頁。

■高橋大祐・竹内朗「日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の解説(第8回・完)情報開示およびガイダンスを踏まえた今後の展開」『NBL』2017年、1097号、46〜57頁。

『自由と正義』特集「実効性ある海外贈収賄防止システムのために」

■竹内朗「日弁連ガイダンスの概要と有事対応としてのコレクティブアクション」『自由と正義』2017年、第68巻、第2号、8〜16頁。

■西垣建剛「海外贈賄防止法制の概要:外国公務員に対する贈収賄防止法(域外適用法)、及びアジアにおける国内の贈収賄規制」『自由と正義』2017年、第68巻、第2号、17〜24頁。

■藤野真也・髙巖「汚職防止のための内部統制システムの整備、コンサルタント・エージェントの格付・管理手法」『自由と正義』2017年、第68巻第2号、25〜31頁。

■中野竹司「汚職防止・発見のための記録化と監査システムの強化について」『自由と正義』2017年、第68巻、第2号、31〜35頁。

その他

■髙巌「外国公務員贈賄防止に係わる内部統制ガイダンス」2014年、企業倫理研究センター。 

■国広総合法律事務所「海外贈収賄防止コンプライアンスプログラムの作り方」2015年、レクシスネクシス・ジャパン。

■ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業) ,‎ デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社フォレンジックサービス編「海外進出企業の贈賄リスク対応の実務」2013年、中央経済社。

​■藤野真也「グローバルリスクとしての外国公務員贈賄—日本企業の内部統制が機能しない理由を巡って」麗澤大学大学院博士論文、2016年

■高橋大祐「中小企業の海外展開における贈賄防止対策の強化 : 日弁連海外贈賄防止ガイダンス(手引)の活用を中心として」『会社法務A2Z』2017年、第114号, 42-47頁。

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海外贈賄危機管理の実務(中央経済社2022年)

​レポート

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第2回腐敗防止年次フォーラム開催レポート

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