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anti-Bribery

Annual Forum

第2回腐敗防止年次フォーラム

開催レポート

2019年9月19日、海外贈賄防止委員会(ABCJ : Anti-Bribery Committee Japan)とグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ : Global Compact Network Japan)共催の第2回腐敗防止年次フォーラム「司法取引制度の透明性の高い活用、OECD審査結果への対応、そしてコレクティブアクションの推進に向けて」が開催されました(文責:ABCJ事務局 高橋大祐/藤野真也)。

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腐敗防止年次フォーラムとは?​ 

 

 海外における贈収賄については一社だけでは解決できない課題も存在し、企業その他のステークホルダーが協働して取組を行うコレクティブアクションが有益な場合があります。このような趣旨で、ABCJは、GCNJによる「腐敗防止強化のための東京原則」の策定を支援してきましたが、さらなるコレクティブアクションの輪の拡大のために、腐敗防止に取り組む関係者が一同に会し議論を行う場として、2018年より、ABCJ と GCNJ 共催の腐敗防止年次フォーラムを開催しております。第2回目となる今回のフォーラムは、齊藤誠弁護士(ABCJ/日弁連弁護士業務改革委員会CSRPT座長)の挨拶によって幕が開けられました。

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齊藤誠弁護士(GCNJ 事務局次長)による開会挨拶

第一部「昨今の国際社会における腐敗防止の動向と、それを踏まえた日本社会の対応」

 

 第一部では、まず経済産業省の渡邊佳奈子氏(経済産業政策局 知的財産政策室長)による来賓報告「OECD贈賄作業部会フェーズ4対日審査レポートの概要とその対応」が行われました。渡邊様には、フェーズ4対日審査報告書における勧告内容や、経産省としての今後の対応方針を示していただき、具体的な提案として「外国公務員贈賄防止指針の改訂」「中小企業にも役立つ簡易版ガイドラインの作成」「相談窓口への相談内容の現状分析」をご紹介いただきました。

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渡邊佳奈子氏(経済産業省)による来賓報告

特別報告「ABCJタイ現地調査報告―国家汚職行為防止委員会NACC・PACCとの対話を踏まえて」

 

 次に、内藤丈嗣弁護士(ABCJ)による特別報告が行われ、2019年8月に実施したタイ現地調査の詳細をご報告いただきました。タイにおける反腐敗に関する国家政策や、執行当局としてのNACCおよびPACCによる贈収賄防止を巡る法の執行状況、当局が企業に求める取り組みの内容などをご紹介いただきました。

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内藤丈嗣弁護士(ABCJ)による特別報告

第1部パネルディスカッション:司法取引制度をいかに活用できるか―贈賄防止コンプライアンスを促進する透明性の高い運用に向けて

 

 第一部のパネルディスカッションでは、國廣正弁護士(ABCJ)をモデレーターに、工藤寛太氏(大和ハウス工業株式会社)、五味祐子弁護士(ABCJ)、竹内朗弁護士(ABCJ)、西垣建剛弁護士(ABCJ)、吉田武史弁護士(ABCJ)の5名の弁護士による活発な議論が展開されました。昨年6月に導入された司法取引制度に関して、第一号案件となった象徴的な事例をもとに、司法取引制度活用のあるべき方向性が模索されました。そのうえで、ABCJの策定した「司法取引ガイドライン」が紹介され、企業としてどのようにリスクと向き合っていくかについて、提案がなされました。

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第1部パネルディスカッションの様子。左から、モデレーターの國廣正弁護士(ABCJ)、工藤寛太弁護士(ダイワハウス)、五味祐子弁護士(ABCJ)、竹内朗弁護士(ABCJ)、西垣健剛弁護士(ABCJ)、吉田武史弁護士(公認不正検査士/ABCJ)

第2部パネルディスカッション:複雑化する課題対処のために連携の輪をいかに拡げ推進できるかー東京原則の活用を含めて

 

 第二部では、第一部の議論を踏まえ、現場の課題を意識しつつ、ステークホルダーがいかに協働できるかについて、腐敗防止東京原則の普及・実践を含め、議論が行われました。ABCJの高橋大祐弁護士モデレーターをつとめ、後藤裕子(信越化学工業株式会社/東京原則署名企業)、松下博英氏(オリンパス株式会社/GCNJ 東京原則署名)、甲斐政則氏(株式会社日立製作所/GCNJ腐敗防止分科会幹事)、松原稔氏(株式会社りそな銀行)、横石邦彦氏(GCNJ事務局次長)、佐藤剛己氏(ビジネスリスク専門家/ABCJ)がパネリストとして登壇されました。ディスカッションでは、日本の本社と海外拠点の現場それぞれが抱える課題に焦点が当てられ、企業とその他ステークホルダーとの間で協働関係を構築することで、いかに課題の解決へと向かうことができるかについて、東京原則の活用という観点から、活発なディスカッションが展開されました。

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第2部パネルディスカッションの様子。左から、高橋大祐弁護士(ABCJ)、後藤裕子氏(信越化学工業株式会社/東京原則署名企業)、松下博英氏(オリンパス株式会社/東京原則署名)、甲斐政則氏(株式会社日立製作所/GCNJ腐敗防止分科会幹事)、横石邦彦氏(GCNJ事務局次長)、佐藤剛己氏(ビジネスリスク専門家/ABCJ)。松原稔氏(株式会社りそな銀行)には、スカイプにて遠隔地よりご参加いただきました。

フォーラム終了後には懇親会を開催

 

 最後は、GCNJ事務局長の大場恒雄氏による閉会のあいさつで締めくくられ、フォーラムは盛況に終わるとともに、その後の懇親会にも多数の方々が出席されました。懇親会では、フォーラムの内容を踏まえた質問などが飛び交い、腐敗防止に関する日常の取組に関する情報を共有し、関係者が立場を超えて交流を深める良い機会となりました。

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